
エリート材とともに暮らす:家具になるまでの物語
2025.05.12
家具のこと

家具に使われている木材は、実は意外なほど種類が少なく、代表的なものでいえばせいぜい10種類ほどに限られます。日々、私たちの身の回りにあるテーブルや椅子、棚などを見渡しても、その多くはナラ、オーク、ウォールナット、チェリー、タモ、ブナ、ヒノキといった、ごく限られた木から作られているのが現実です。
しかし一方で、植物図鑑や樹木の専門書を開いてみると、世界中には信じられないほど多種多様な樹木が存在していることに気づかされます。熱帯雨林の奥地から寒冷地の高山地帯まで、実にさまざまな気候や土壌で生きる木々の姿は、それぞれが異なる個性と特性を備えています。
そのような膨大な種類の樹木の中から、家具用の木材として選ばれるというのは、考えてみれば本当に特別なことです。強度や加工性、乾燥後の安定性、色合いや木目の美しさなど、数え切れない基準をクリアした「選ばれし存在」とも言えるでしょう。
そう思うと、私たちが日常的に使っている家具というのは、単なる道具ではなく、厳しい条件を乗り越えた“ほんの一握りのエリートたち”によって支えられているのだと、あらためて実感させられます。
木材というのは、伐採された直後は水分をたっぷりと含んでいて、いわば「まだ生きている」状態です。そのままでは使い物にならないため、まずは丸太から板状に製材し、そこからじっくりと時間をかけて乾燥させていく必要があります。
この乾燥の工程は非常に重要で、性急にやってしまうと木材の内部に無理な力がかかり、ひび割れやねじれ、反りといった変形が起きてしまいます。乾燥の途中で木が縮んでしまうのも自然な現象ですが、場合によっては思った以上に大きく変形することもあり、歩留まりが悪くなることも珍しくありません。例えるなら、無理なダイエットに似ていますね。
さらに虫食いやカビ、節の位置や強度のばらつきといった問題も加わってきます。そうした数々の難関をくぐり抜けた木材だけが、ようやく家具として加工され、私たちの手元に届くのです。その過程を想像すると、完成した家具に使われている木材が「エリート」と呼ばれるのも納得で、まるで試練を乗り越えた優等生たちを見ているような気持ちになります。

エリート材には、ぜひオイル塗装を!
木材にはさまざまな塗装を施すことができます。オイル仕上げやウレタン塗装、着色など、用途や好みに応じて選べますが、やはり一番のおすすめは木そのものの色味を活かしたオイル仕上げです。
無垢材が持つ自然な色合いや木目は、一つひとつが異なる個性を持ち、光の加減や経年によって少しずつ表情を変えていきます。その変化もまた、木の魅力の一部と言えるでしょう。
塗色によって一見きれいに整った印象を与えることも可能ですが、自然な風合いには人工的な仕上げでは出せない温かみがあります。
特に室内の空間では、ナチュラルな木の色がやわらかくなじみ、心地よい空気感をつくってくれます。素材そのものを感じられるオイル仕上げは、長く使うほどに愛着も深まります。
大和屋家具店では、大切に使っていただくことで長く味わい深く育てていける家具を集めています。