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【SOLID知多5周年】ワークショップで再確認した、オイルメンテナンスが教える「モノを育てる」という贅沢な教育

2026.03.25

皆さん、こんにちは。大和屋家具店の淺井です。

半田の街にもお祭りの時期がやってまいりました。それに伴い、いつもこの時期に思い出すのが…

そうこの時期にSOLIDをオープンしたという事…。

ちょうど、5年前にSOLID知多は、ここ半田の地でOPENしました。それから早いもので5年の月日を重ね、おかげさまで5周年という節目を迎えることができました。

この記念すべきタイミングで開催した「オイルメンテナンス講座」には、たいへん多くのご家族にご参加いただきました。

木の香りに包まれ、親子で真剣に紙やすりをかけ、オイルを塗り込む……。 その光景を見ていて私が強く感じたのは、オイルメンテナンスは単なる「お手入れ」ではなく「使い捨ての時代にこそ必要な、最高に贅沢な教育」であるということです。

今回は、ワークショップで感じた熱量をそのままに、オイル仕上げのメリット・デメリット、そして「モノを大切に育てる」ことの本質をお伝えします。

「便利さ」の裏側で、私たちが失いかけているもの

現代は、安くて便利なモノに溢れています。汚れたら買い替えればいい、壊れたら捨てればいい。そのスピード感は一見効率的ですが、どこか寂しさと虚しさを伴います。

「モノには魂が宿る」

かつての日本人が大切にしてきたこの感覚が、希薄になっているのかもしれません。しかし、SOLIDの家具は違います。私たちは、「傷つくことも、汚れることも、その家具の歴史の一部」だと考えています。

オイルメンテナンス講座で、お子様が自分の家のダイニングテーブルの天板を一生懸命磨いている姿がありました。その小さな手が、自分の生活の道具を労わる様子は、まさに「モノを大切にする心」が育まれる瞬間そのものでした。

オイル仕上げの「メリット」:触れるたびに心を満たすもの

1,圧倒的な『質感』と『ぬくもり』

表面に硬い膜を作るウレタン塗装とは違い、オイルは木の導管に浸透します。冬は暖かく、夏はさらりと手に馴染む。この「本物の感触」を幼少期から肌で知ることは、豊かな感性を育むことにも繋がります。

2,「自分で直せる」という安心感

ワークショップでも驚きの声が上がりましたが、小さな傷や水垢なら、ご自身で修復が可能です。「失敗してもやり直せる」「自分の手で美しくできる」という経験は、子供たちにとっても大きな自信になります。

3,時と共に深まる「経年変化」

新品がピークではなく、10年後、20年後がもっとも美しい。そんな「時間」を味方につける価値観を、オイル仕上げは教えてくれます。

オイル仕上げの「デメリット」:手間という名の「愛着」

1,水気や汚れへのデリケートさ

コップの輪染みや油汚れなどは、長時間放置すると跡になりやすいのが弱点です。

2,定期的なメンテナンスという「儀式」

半年に一度、あるいは一年に一度、オイルを塗り足す作業が必要です。しかし、この「手間」こそが、家族の絆を深める装置になります。 「汚さないように気をつけようね」と自然に道具を労わる心が芽生え、もし汚れてしまったら「今度の日曜日に、みんなで綺麗にしようか」と家族のイベントになる。 メンテナンスを面倒な「家事」ではなく、家具への「ご褒美」であり、家族の「文化」に変えてしまう。このプロセスこそが、安易な使い捨て文化に対する、家庭でできる最大の教育的アプローチではないでしょうか。

3,木が動くという事

ウレタン塗装のように表面を完全にコーティングしないオイル仕上げは、木が周囲の湿度に合わせて水分を吸ったり吐いたりする「呼吸」を妨げません。そのため、湿度の高い夏にはわずかに膨らみ、乾燥する冬には収縮します。時には、天板に小さな反りが出たり、わずかな隙間が生じたりすることもあります。

一般的には「狂い」や「欠点」とされるこの現象ですが、私たちはこう考えます。 「家具も、私たちと同じように生きているんだ」と。

雨の日にはしっとりとし、晴れた日には引き締まる。この「木の動き」を目の当たりにすることは、子供たちにとって「このテーブルは、かつて森で生きていた命なんだ」と実感する貴重な機会になります。 「最近乾燥してきたから、オイルを塗ってあげようか」 そんな会話が生まれるのは、木が動くからこそ。環境に合わせて姿を変える家具をいたわることは、相手を思いやる想像力を養うことにも通じていると私は思います。

「本物」でなければ、教育にはならない

ここで重要なのは、どんな家具でもいいわけではない、ということです。 表面だけを薄くスライスした木を貼った「突板」や、木目を印刷した「シート貼り」の家具では、メンテナンス教育は成立しません。それらは「動き」を封じ込める代わりに、一度傷つけば二度と元には戻らない、命のない工業製品だからです。

SOLIDの家具が、混じりけのない「総無垢材」であるこは、「無垢材の無限の表情」を楽しめるということです。100年かけて育った木を、熟練の職人が100年使える家具に仕立てる。中身までぎっしりと詰まった本物の素材だからこそ、私たちは傷を恐れず、子供たちに「思い切り使いなさい」と言えるのです。

子供たちがつけたおもちゃの傷、受験勉強で夜遅くまで机に向かった時の消しゴムの跡、家族で囲んだ記念日の食事のシミ。それらを消し去るのではなく、メンテナンスで「思い出」として美しく整えながら、次の世代へとバトンを繋いでいく。そんな暮らしのあり方は、何物にも代えがたい教育的価値を持っています。

家具をもっと長いスパンで考えてほしい…

「家具を買って終わり」ではなく、そこから始まる暮らしの「伴走者」でありたい。 今回のワークショップで皆さんと一緒に手を動かし、オイルの香りに包まれながら、その想いを改めて強くしました。

SOLID知多は5周年を迎えましたが、私たちがお客様に納品した家具たちは、まだ5歳。人間でいえば、ようやく自分の足で力強く走り回り、周囲の環境を吸収し始めた頃です。これから10年、20年と経ったとき、その家具たちがどんな深い色艶を纏い、どんな家族の物語を刻んでいるのか。それを想像するだけで、私たちの仕事には無限のやりがいを感じます。

メンテナンスに正解はありません。少しずつ、ご自身のペースで向き合っていただければ、家具は必ずそれに応えてくれます。木が動き、傷がつき、色が変わる。そのすべてを愛でる贅沢を、ぜひ楽しんでください。